
運動部活動指導者の考える中学生の競技力向上について
大分県中学校体育連盟研究部 大分市立大分西中学校工藤啓記 [1]テーマ設定の理由
生涯体育スポーツを指向した運動部活動のあり方を求め、本研究大会も13回を数える。「競技力向上対策」については、第10回宮城大会から、本分科会に新たに設置され、中体連として効果的な対策や運営が協議されるようになった。宮城大会では、中高の連携による一貫指導の重要性が、大会アピールとして宣言され、今後の方向性が示された。さらに翌11回広島大会では、学校5日制の拡大により、運動部活動に「チャンピオンスポーツ」と「生涯スポーツ」を位置付け、生徒の選択や要求に応じた魅力ある運営を行なうことが重要であるとの提案がなされた。
このように、これまではいわゆる競技スポーツと生涯スポーツの共存という認識で、競技力の向上対策や中体連・部活動の組織運営が論議されてきた。ところが、昨年長崎大会第1分科会において、新たに次のような指摘がなされた。
「中学生の運動部活動を考えるとき、競技スポーツと生涯スポーツの概念に囚われすぎてはいけないのではないか。はたして中体連においては、両者を区別することが可能なのであろうか。『異質なものの共存』という概念ではなく、中学生スポーツの目指す、スポーツ文化を学び、身につけていくことで、『自ら両者は培われていくもの』である。したがって、全国大会はオリンピック選手の育成ではない。」このことは、中学生の競技力向上の考え方に新しい視点を示唆している。部活動で中学生を指導する我々は、一般的に「競技力向上対策」というと、全国・ブロック・各県大会等において上位入賞することや、将来的に、国体強化選手、ひいては日本を代表する競技者としての選手を育成するための対策を連想しがちである。しかし、心身の発達段階にある「中学生における競技力向上」とはどのように位置付けられ解釈されるべきものであろうか。おそらく、狭義の競技者育成とは、性質を異にすると判断される。その上、中学校の現場では、競技経験者から初心者まで、様々な指導者が指導していることを考えると、それぞれの指導者がどんな観点で「競技力の向上」をとらえているかを把握することは、今後の本県の取り組みの上で重要になると思われる。
そこで、大会発表の機会を得た今回、「本県中体連の運動部活動指導者の考える、中学生における競技力向上」というテーマを設定し、意識調査を実施することで現状を分析し、今後の対策の参考にしたいと考える。
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